P助の発明道楽vol.1

今回のお題は“レシプロエンジン”

21世紀は電気の時代! とはいってもガソリンや軽油・重油を使った内燃機関は今すぐ消えるわけにはいきません。日本みたいにせせこましい国ならば、ちょっとバッテリーが上がりかけたらどっかで充電もできるでしょうが、アジアのジャングル・アフリカの砂漠などでは電気すらありません。車にしてコレですから、潮来一枚海のうえ荒波こえて船を出す漁師の親父や飛行機のパイロットにとって、軽量ハイパワーのエンジンは必要不可欠といえるでしょう。
いま自動車搭載のエンジンは“直噴”と“ハイブリッド”がキーワードの様子。直噴代表は三菱のGDI。希薄燃焼の研究をやってた人が、たった1年半ででっちあげた(?)ハイテク技術です。もとをただせば第2次大戦中ナチス空軍の飛行機用発動機がオリジナル。戦後の自動車レース界を席巻したベンツにもその派生品が載っていましたね。

一方ハイブリッドはトヨタプリウスでもはやおなじみの存在。非力なエンジンと非力なモーターを組み合わせ、お互いの弱点をおぎうなう助け合い運動。今度ホンダが出したのは「電気ターボ」と呼ぶべき電動アシスト自転車の自動車版。いずれにしてもエンジンの基本コンポーネンツにいろいろデバイスを付け加えて、デザインされているのが現状です。100年前からたいして成長・進化していないのですよ、この業界は。


さて前置きが長くなりましたが、ここらで本題に。貴重な化石燃料を浪費し大気を汚染しながら作動するエンジンは、燃料の持つエネルギーのわずか10分の1程度しか仕事につかっていません。機械・摩擦・熱損失としてあちこちで浪費・放蕩三昧しているのです。
なかでも熱損失ほどばかばかしい物はありません。せっかく燃やした燃料を、無駄な騒音に変換しているのですから・・・。暴走族などに見られる直管マフラーの騒々しさはよくご存じでしょう。あのばかでっかい騒音は、どなたの自動車でも出せるのです。エンジンから出ている排気管をバーナーなどで切断すれば、土曜の夜の天使に早変わり。エンジンから排出される排気ガスは7〜800度の高温高圧。その迫力は音速のソニックウエーブ。うなる直管闇夜を裂き、朝まで全開アクセルONは横浜銀蝿だけで結構。普通は消音器で共鳴させエネルギーを減衰、熱と圧力を和らげて排出しているに過ぎないのです。
この排気ガスを再度エネルギーとして流用する試みが“ターボチャージャー”ですが、哀れバブルとエコロジーの狭間に風前の灯火です。いずれにしてもこの7〜800度もの高温高圧ガスのエネルギーを、とことん使おうというのがこの発明の着目点です。

クランク図

上図はクランクシャフトとピストン、そして双方を結ぶコンロッドの図。下図はシリンダー内のガス状況とクランクシャフトの回転角度の相関図。絵が下手なはご愛敬。私は絵描きじゃございませんので。
クランクの回転運動をピストンの往復直線運動に変換する役目を負うのがクランクシャフト。エンジン100年史のなかで成長の跡が見られないのもこのクランクシャフトです。排気ガスが7〜800度もの高温・高圧のまま押し出されるのは、このクランクシャフトが無能なため。クランクのオフセット量でピストンのストローク量が決まってしまうので、まだ膨張を続ける燃焼ガスを早々に吐き出してしまうのです。燃焼ガスにしてみれば「まだ飯を食ってるのに、閉店だからと追い出された」ようなもの。
ならば最初っから「吸入空気や燃料を少な目にすればよい」と思うでしょ?それができないから困りものなんです。ガソリンエンジンはエンジンに流れ込む空気量を調節して回転数を制御しています。だから空気量を絞り込んだ低速回転では、燃焼室内は低気圧の酸欠状態。
ピストンで圧縮しても本来の設定よりも空気密度が低いので、充分な反発力を得ることができません。
おまけに低速ではピストンの速度も遅いので断熱圧縮で高まった空気温度も低下して、ガソリンも燃焼しにくくなってしまいます。・・・コレじゃあ満足な走りはできませんね。燃焼効率を突き詰めると流入空気量を絞ることは燃料をぶちまけて走るのと同じ事。空気量を絞らず燃料を調節するの方が効率は良いのですが・・・。

最適の燃料・空気の重量比は、1:14.5の理論空燃比として、いにしえより決まっています。理想的な混合比より燃料が多ければ不完全燃焼でプラグがかぶり、未燃焼ガスは大気中を漂います。薄ければ薄いで、燃焼室内が高温になり、ノッキングや焼き付きの原因に。エンジンを壊さない程度に薄い燃料で動かそうと、希薄燃焼方式や直噴ガソリンの技術者は今夜も残業。本当にご苦労様です。

ディーゼルエンジンは最初っからスロットルがないので、噴射燃料の量をコントロールしてエンジンの回転数を調整しています。しかし吸入空気の量に対して燃料が少ないと燃焼ガスはとんでもない高温に。自然界では結合しない窒素と酸素を結びつけ、大気汚染の元凶になります。これを抑える方向にすると今度は黒々とした煤煙が発生。まあ、液化した二酸化炭素を使うと双方丸く収まるそうですが、まだまだ開発中の技術とか。
石原東京都知事の「ディーゼル車を都内から一掃したい」発言や、関係業界各社から非難紛糾など周辺の方が騒がしいのが現状ですね。ECからの横やりや、窒素酸化物や煤煙などの公害問題をクリアしない限り、国内ではディーゼルに未来はありません?


サイクル図1


上図はピストンスピードをふまえた4ストロークエンジンのサイクル図です。作図はジャストシステムの“花子”にて。下手ですいませんね。

上死点はピストンが一番上にある状態。下死点は同じく一番下に降りた状態です。ピストンは往復直線運動を繰り返すわけですから、上下死点ではピストンは一時停止・速度は0の状態。そこから猛烈に加速して行程の中程で最高速に達し、急激に減速、そして停止。今度は逆方向に猛烈に加速して、急減速、停止・・・を繰り返すわけです。コレはピストンの直線往復運動を円運動に変換するクランクの構造に起因しています。

圧縮して点火された燃料は“熱プラズマ”状態。最高温度は2000度に達します。そこから断熱膨張で温度と圧力を下げるわけですが、エンジンから排出される排気ガス温度が先記のように7〜800度。まだまだポテンシャルを秘めています。

4ストロークエンジンはクランクが2回転することで吸入・圧縮・膨張・排気の一通りをこなします。2回転という事は720度。1サイクルあたりそれぞれ180度がわり当てられ、膨張行程の180度が仕事をして、あとの行程は足を引っ張るわけです。効率としては全体の25%のみ。そのわずか25%の仕事を分析すれば、前半の12.5%は加速、後の12.5%が減速行程。まだまだ膨張しようとする燃焼ガスをクランクが邪魔をしているわけです。
つまり、通常のレシプロエンジンのエネルギー変換効率はたった12.5%なのです。コレでは地球資源は目減りする一方ですね。


サイクル図2


上図は“自然吸気”ミラーサイクルのグラフ。
ミラーさんのアイデアをちょいと自分流にアレンジしていますが・・・。
吸入圧縮の下死点位置より膨張排気の下死点位置が低い、圧縮比より膨張比が大きいのが特長で、どうせ燃料を炊くのなら、しっかりとことん使おうということ。

ターボやルーツ・リショム・コンプレックスetc・・・過給器をつかってシリンダーに空気を詰め込み、バルブを開けっ放しにしてピストン上昇をやり過ごしたり逆に吸入途中でバルブを閉じれば、現在のレシプロエンジンにも応用は可能です。代表例はマツダのユーノス800(だったかな?)。「2300ccの排気量で2500ccのパワー、1800cc並の経済性」バブルに踊るマツダが、中途半端なコンセプトで世に出した短命の車。リショムコンプレッサーをつかった面白いエンジンだったのに、世間の評価は低かった。「みんな不景気が悪いんじゃ!」と、お好み村でクダを巻くマツダ開発者の嘆きが聞こえるようです。
従来のクランクシャフトで下死点位置を可変にすることは、強度的にほぼ不可能。無加給ではせっかく吸入した空気を逃がすのは損失をいたずらに増やすのみ。コンプレッサーがなければ「2300ccの排気量で1500ccのパワー、1800cc並の経済性」になってしまいます。


ドライバー概念


図は“オートマチック・ドライバー”です。
ミラーサイクルを無加給で実現するには、技術的なブレイクスルーが必要です。100年のしがらみを振り切れば答えは自ずと見つかります。円運動を直線運動に変換する機械要素はクランク以外にも様々な方法があります。エンジンの周辺を見回すだけでも“カム”や“ラック&ピニオンギア”など。エアコンでは“斜板プレート”などおなじみの存在。ただし、これらの機械要素は円運動を直線運動・直線往復運動に変換することは容易でも、逆は難しいのです。

上の図にあるドライバーはその貴重な成功例。ホームセンターでもおなじみの工具です。ドライバーの杖を握って下に押しつけると、刻まれた溝に沿って軸が回転し、ねじを締めたりゆるめたりできる構造になっています。溝の角度は普通のねじに比べて極端に立っています。コレがミソですね。角度のたった円筒状の溝ならばピストンの往復直線運動と、シャフトの円運動を相互に結びつけることができるのです。


カム図


図は円筒カムの概念。
青が吸入、黄色が圧縮、赤が膨張、黒が排気の行程を表しています。青と黒の端を上死点で結び、円筒に刻み込めば完成です。通常のクランクでは先記のように2回転に1度しか膨張行程がありません。しかしこの円筒カムならば1回転ごとに膨張行程があります。
つまり、ふつうのエンジンがしゃかりきになって、6000回転7000回転でピークパワーを絞り出すのに対し、このエンジンなら半分の回転数で目標が達成できるのです。
回転数が低いということはそれだけ摩擦や遠心力・慣性力による抵抗などが軽減されるわけですし、減速ギアにかかる負担も軽くなり、システム全体の軽量化・高効率化にもつながるのです。ついでに円筒に刻む溝のサイクルを2度3度と繰り返せば、さらに回転数を下げることもできます。溝の角度も立ってきますから伝達効率を上げるのにも好都合? 減速ギアのいらないエンジンも実現可能な訳ですね。とりあえず、上図のサイクルで以下話を進めて行きます。


基本構造


基本構造図です。花子の使い方にもようやく慣れてきました。
円筒にサインカーブを刻んだものを便宜上クランクシャフトと書いていますが、円筒型のカムですから“カムシャフト”と書いた方が良かったのでしょうか? でもエンジンの世界では既にカムシャフト成る物が存在するだけに・・・。ややこしいので今後は“円筒カム”と呼ぶことにします。先の出っ張りについては乞うご期待。結構スゴイですよ。

観光地の駅においてある記念スタンプ、そのスタンプを倒したようなのがコンロッド一体型の“ピストンユニット”。お尻の丸い部分が円筒カムに刻まれた溝にはまりこむようデザインされています。中心の円筒カムをピストンユニットが包み込み、そのまた周囲を“クランクケース”?(この呼び方も考えなければ・・・)が包み込むわけですね。一種の「ボールベアリング」のようなデザインなので、摩擦抵抗や振動的にも有利かもしれません。
円筒カムは結構太くなりますから、そのままバランスウエイトやフライホイールの役目にも使えます。お尻はもう少し経を広げて、クラッチ板やトルコンでも取り付ければ良いでしょう。

このシステムでは等間隔の順次点火になります。時計回りでも反時計回りでも別にかまいませんが、多気筒の場合対角線上の気筒は同方向、隣接する気筒では逆方向のピストン運動になり、振動やねじれの少ないシステムとなるでしょう。自動車・バイクでポピュラーな4気筒がバランス上有利でしょうね。ちゃんとした計算はしていませんが・・・。

この図では5気筒エンジンなのでシリンダーは桜の花みたい。私の年代では1970年の大阪万博のシンボルマークを彷彿とさせてくれますね。もちろんシリンダーの周囲にはウォータージャケットをめぐらせて・・・とは考えたのですが、画力がそこまで及ばないため割愛しております。今後も冷却系・潤滑系は筆者都合により無視する場合もあります。あしからずご了承くださいませ。


動弁系統


プランAでは、延長シャフト先端に給排気バルブを駆動する円筒カムがあります。スプリングを持たないバルブシステムは、ドカティのデスモでもおなじみ。実際にはロッカーアームやリンクで動作を円滑に進める仕掛けが必要でしょうが・・・。絵を描くのがめんどくさいので、一番シンプルなプランにしときました。
どちらにしてもチェーンやベルト・ギア駆動のカムシャフトとは違い、2分の1に減速する必要はありません。ということは、構成部品の簡略化とメンテナンスの利便性が大幅に増します。

等間隔燃焼ですから、バルブ作動も順番通りめぐってきます。等長管を使うことで排気ガスの吸い出し効果や、吸入空気の慣性過給などにも有利な構造になりますね。


対向ピストン


上の図は対向ピストンプラン、下の図はピストンの動きを表しています。

シリンダーの中程、給排気ポートの中間には、「ガソリンエンジン」なら点火プラグ、「ディーゼルエンジン」なら燃料噴射ポンプ、「直噴ガソリンエンジン」ならその両方を取り付ける開口部が付きます。例によって面倒くさいのと、妄想に画力がついてこないのとで思い切って省略してあります。あしからずご了承ください。

対向型ピストン形式といえば「ユンカース・ユモ・シリーズ」の一種で、大戦中のドイツで輸送機などに使われたエンジンが有名。2サイクルのディーゼルですから黒煙を吐き散らし、とうぜん敵に発見されやすかったとか。最近ではイタリアのスクーターにも似た配列のエンジンが搭載されていますが、燃焼・膨張エネルギーをフィードバックしない「プランジャーポンプ」として使っているらしいですね。どちらのエンジンも通常のクランクで動くのは言うまでもありません。

このプランのメリットは、バルブがないシンプルなエンジンになることです。また共通の部品を流用できるので、量産効率を高めることも可能ですね。もっとも、どっかのメーカーが本腰を入れて作るならばのお話ですが・・・。まあブランニューエンジンの開発には100億円はかかるらしいので、なかなかねぇ・・・。ちなみに「ポンピング損失」はバルブ付きのエンジンが太刀打ちできないほど少なくなります。虫の標本作りにつかった注射器を思い出してください。針が付いたままの注射器と、針のない注射器ではどちらが薬液を吸い込みやすかったでしょうか?竹筒で作った水鉄砲、出口の穴の大きさで、突く力が全然違ったのを覚えていますか?それがポンピング損失です。
ほんの10年前にはバルブの数なんて、一部のレース用とその派生エンジンを除けば吸気排気の1つずつ2バルブだけ、「ビッグバルブ」で大きさを競うのどかな時代でした。
大きさ競争には限界があるので「数で勝負」と吸気2排気1の3バルブをどっかのメーカーが出したら、ライバルメーカーは吸気2排気2の4バルブを世にだし、気が付いたら世の中はバルブだらけ。ヤマハが吸気3排気2の5バルブを出し関連トヨタが採用したところで、バルブならぬバブルが崩壊・・・。多バルブを競ったメーカーは、こぞって「充填効率」の向上、つまりは開口面積を合算して大きくするほどポンピングの抵抗が少く、機械的な損失が少ないということをアピールしていました。

さて細部の説明ですが、シリンダーには「ポート」と呼ばれる穴が開けられており、そこから新しい空気の吸入や燃焼ガスの排出をします。このタイミングをつかさどる「バルブ」の役目はピストンが代行しています。2サイクルエンジンの「ピストンバルブ」形式と同じ要領ですね。
図ではシャフトと水平に書きましたが、吸気ポートは少し角度をつけたラジアルタイプにした方が吸気にスワール効果がプラスされて燃焼効率も上がることでしょう。もちろんポンピング損失はシリンダーヘッドにバルブを持つ従来エンジンよりも遙かに少ないのです。
なぜかって? 近所の竹やぶから竹をとってきて、水鉄砲を造り比べてみてください。自らの手で覚えればおのずと違いもわかることでしょう。

吸気側の円筒クランク展開図の青線部分「吸入」行程と、排気側円筒カム展開図の黒線部分「排気」行程がほぼ横這いになっているのにお気づきでしょうか。吸気側ピストンは吸入ポートの開いた下死点Bで、排気側ピストンは排気ポートが開いた下死点B’で停止することを表しています。通常のクランクには絶対まねのできない動きですね。対向するピストンはこの時動いていますから吸排気のガス移動もスムーズです。

緑の線は新たに設けられた「移動」の行程。だからこのエンジンは吸入・圧縮・膨張・排気・移動の5サイクルになります。吸気側のピストンは上死点から下死点Bまで、排気側のピストンは下死点B’から上死点まで移動します。双方のピストンの間には「吸気側ピストンの上死点から排気側ピストンの下死点A’までの隙間」があり、断熱膨張で圧力と温度・密度の下がった未排出の排気ガスが残っています。これが“ミソ”ですね。
ワザと排気ガスを、フレッシュな吸入空気に混ぜることを「EGR」とよび、公害対策や燃焼効率改善に役立てるのはどこのメーカーもやっていること。ただしあちらさんは、追い出した排気ガスをわざわざ取り寄せて吸入空気に混ぜていらっしゃいますが・・・。
その効果のひとつが排気ガスに残留する未燃焼の燃料を燃やすこと。でも大方の排気を大気にぶちまけた後のことですから、ザルで水をすくうようなもの。でも、やらないよりはやった方がまし。

燃料に含まれる炭化水素(HC)が大気に含まれる酸素(O)と反応して、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)が生まれる。この反応熱で空気を膨張させ、その圧力でピストンを押し下げてエンジンは動いています。酸素を使い切った排気ガスには、通常の大気に比べて二酸化炭素と水分が多く含まれます。二酸化炭素が地球温暖化の元凶と指摘されていることは皆さんもよくご存じでしょう?
この二酸化炭素は窒素(N)や酸素に比べて比熱が大きいのが特長。比熱が大きいと言うことは暖まりにくく冷めにくいこと。地球温暖化は二酸化炭素が冷めにくいので、夜や冬になっても気温が下がりにくい状態なのです。ちなみに気体をのぞく全物質のうち比熱が一番大きいのは水。その比熱の大きい双方が多く含まれているからこそ、EGRすれば燃焼温度を低く抑えることができるのです。
燃焼温度が低いと窒素酸化物(NOx)の発生を抑えることが可能。要するに毒を盛って毒を征する方法ですね。高温でのみ発生する窒素酸化物の発生をこうして抑制すれば、目がちかちか、咳がごほごほでる光化学スモッグともおさらば・・・。おまけに燃焼温度が下がると、高い圧縮比でもノッキングなどの異常燃焼が起きにくくなり、エンジンがぶっ壊れにくくなるのです。
ノッキングが常につきまとう直噴ガソリンやディーゼルのようなリーンバーン(希薄燃焼方式)エンジンこそ、このシステムが最適かも?
下図の矢印の大きさにご注目ください。「排気」「移動」でEGRしますので、新たに「吸入」する空気の量は青の矢印分だけ。「排気」で断熱膨張して温度が下がったと言っても比熱の大きい排気ガスのこと、燃料を気化するに充分の熱量を持っています。
双方のピストンがポートをせき止めながら吸入した空気と排気ガスをブレンドして「圧縮」。これだけの酸素量で発する運動量は「膨張」の赤矢印2つを足したもの。差し引きして長い方の赤矢印分だけ多く仕事をしてくれるので、これも変則的なミラーサイクルです。
直線的なピストンの運動はシャフト両端で同一方向の回転運動に変換されるため、ねじれ、それに伴う振動・騒音も在来型クランクより少ないのは、もう言うまでもありませんね。

いま日本や欧米の自動車メーカーは「3リッターの燃料で100キロ走る」自動車に、既存の技術を組み合わせて取り組んでいます。冒頭にも書いたハイブリッドなどもその一例ですね。日産やスバルが力を入れている「CVT」も、エンジンのもっとも効率の良い「おいしいところ」を生かす駆動系として優れたシステムです。
たとえ燃料が天然ガスやアルコール・水素に変わろうとも、内燃機関は生き残るでしょう。100%電気モーターに取って代わられることはありません。だからこそ、そろそろ100年前の呪縛から、そろそろ卒業してみてはいかがでしょうか。それらの優れた技術と円筒カムの組み合わせならば、「低公害で低騒音」おまけに「3リッターで200キロ」や「1リッターで100キロ」の「経済性」も夢物語ではありません。


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