P助の露天商日記vol.3

七転八倒編 3月

3月5日 花博ふれあいマーケット
プライドずたずた1月・2月の売り上げは、例年以上に「ドツボ」でした。「2月8月(ニッパチ)は商売にならん」。といいますが、露店の世界でもそれは共通。「寒い」うえに「雪まで降る」そのうえ百貨店などのバーゲンも、年々開始を早める昨今では、その傾向は特に顕著です。
こんな時期は仕入れもストップ。今ある在庫を売り尽くし、春まで体力を温存するに限る。そんなつらく苦しい冬眠の時期も、もうお終い。梅の香りが漂う、ぽかぽか陽気の春3月。分厚いベンチウォーマーを脱ぎ捨てて春物のブルゾンに袖を通し、新たに仕入れした「ヤングレディース」向けの商品を車に積んで、花博にむけて京都を出発。
国道1号線の枚方市付近にさしかかったところで、対向車が立て続けにパッシング。アクセルをゆるめて遵法走行。するとまだ8時前だというのに、ねずみ取りの真っ最中。枚方署のお巡りさん、朝早くからご苦労さんですな。
レーダー探知機未搭載につき、ここからは小判鮫作戦。飛ばす車にテールツーノーズでくっついていく。気分はマーク屋の競輪選手。おまけに風圧が減少することで、多少でも燃費が良くなるはずだ。地球にやさしい暴走中年は、開門前の会場に余裕で到着。
今回のフリマは“有限会社”なでしこふれあいマーケット協会、おなじみ大西“代表取締役社長”の主催。2月の文パルで出店料を払っておいたため、今回の出店場所は入り口の真ん前、No1の場所。せっせと荷物を降ろして出店準備を進める。後ろは古着とジーパンの佐々木ブラザーズ。隣は姫ちゃん。なでしこフリマのレギュラーが一ヶ所に固まったかたちになった。
ただ今回、姫ちゃん本人は三谷のおっちゃんの江坂カーニバルプラザに出店。奥さんも「どうしても行かなきゃいけない所があるの」とセッティングのみで途中退場。かくして高校生と中学生の姫坂シスターズが店番に残った。
開場とともに、お客さんがどっと押し寄せる。さすが入場口の真っ正面。朝一番から売り上げがあがる。ふと、隣の姫坂シスターズの様子を眺めてみると、開店早々からお客さんが群がっている。なかなか出足好調の様子。佐々木ブラザーズも「商品がない」と、こぼすわりには順調のようだ。
今回の客層は、メジャー会場だけに幅広い年齢層が来場しているようだ。ヤングレディース向け商品が順調に売れてゆく。最終トータルでは、ピーク時の売り上げには遙かに及ばないものの、冬場シーズンの苦戦ぶりを考えるとまずまずの数字。ほっと一息。
「どれぐらい売れた?」姫坂(姉)に尋ねると「7万8千円くらいかな?」と、無邪気なご返事。正直なところショックは隠せない。いかに単価が違うとはいえ、売上金額に倍以上の開きがある。「姫さんとこ8万近く売れたらしいで」と、佐々木ブラザースに報告。「げろ、子供に負けた」「しゃれにならんな」佐々木ブラザースも同様也。
しゃくに障るので「ナンボ売れた?」と、姫ちゃんにTEL。「3万くらいかな?」との返事。「なんや、娘に負けてるやないか! 親父の面目丸つぶれやな!! 娘に商売教えてもらいや!!!」子供に負けた腹いせに、ここぞとばかり罵詈雑言を浴びせ倒す。
姫ちゃんに遠慮は無用。彼は雑草のような生命力と荒縄のような神経の持ち主。打たれ強い。「そういうあんたはナンボ売れたんや?」「・・・3万くらい・・・」「何やあんたも娘に負けとるやないか!」
返す言葉もございません。


3月11・12日 三菱電機感謝祭
ゲロまず 「穴場おまっせ」と、佐々木ブラザース(兄)がこっそり教えてくれたのが今回のフリマ。京都市の南隣、長岡京市にある三菱電機の工場を、地域の住民に開放する年に一度のお祭りだ。模擬店や子供遊園地、各種の産直品販売の他、自社・他社製の電化製品の特売が目玉の恒例行事。昨年あたりからフリマスペースも設けられ、周辺住民からも大好評とのこと。出店料無料! おまけに社員食堂の食券支給!! いよ! さすがは財閥系企業、太っ腹!!
本日は車出店。ガードマンの指示に従って構内へ。白線で区切られたブースに車を乗り入れる。見上げると、どんよりとした曇り空。せっかくのお祭りも降水確率は50%。天気予報では午後から天気が崩れるとのことで、念のためルーフキャリアに洗濯竿と防水シートを組み合わせ、簡易ターフをセッティング。商品のディスプレーも終了し、後はお客さんが来るのを待つばかり。
今回のブースは抽選会場の目の前。開場とともに、抽選券を握りしめたお客さんが列をなす。抽選が終わったお客さんが、我々の前に流れてき始めた。さぁ商売、商売。・・・しかし・・・。
「ガランガラン」と、ときおり大当たりの鐘の音が聞こえる。その鐘の音は「ガランガラン」とむなしく心に響く。お客さんはむちゃくちゃ多い。特に子供連れ。本来ならうちのメイン顧客層だ。子供物さえ数をそろえておけば確実に拾えた客が、目の前を通り過ぎてゆく。
よそを覗いてみても佐々木ブラザースや雑貨の伊藤さんなど、大人向け商品のお店は苦戦の様子。唯一好調なのは、子供服を大量に仕入れてきていたちょんまげ伊東ちゃんの店のみ。花博でヤングレディース向け商品がなかなか好評だったのに気をよくして、子供物の仕入れを怠った罰が当たった。子供向けの残り少ないブランド・キャラクター商品だけが、刻々と消えてゆく。
そうこうしているうちに、雨がぽつぽつ落ちてきた。いかに屋根を作っても、吹き込みまでは防げない。おまけに時間とともに雨足が強まってきた。さすがに客足もばったりと途絶え、そそくさと終い支度を始める。
すっかり荷物を片づけて、時計を見てもまだお昼過ぎ。せっかくだから社員食堂でタダ飯をいただくことにした。トレーをもって作業服の従業員らしき人物の後ろへ並ぶ。メインディッシュはカツ。付け合わせはサラダ、フライドポテトとロール状の卵焼き。これにご飯とみそ汁が付く。これが尋常な代物ではなかった。
艶・光沢のないのご飯は古米か古々米か。みそ汁の実は菜っぱの切れっ端。わらじ大のチキンカツにiは、いちおう包丁が入れられてはいるが、つながったまま。フライドポテト、ウインナーを巻いた卵焼きもカツ同様、冷え切っている。サラダにいたっては、表面が乾いて茶色く変色している。
日雇い人足の弁当もかくやの、とんでもない昼飯であった。

女工哀史あけて翌日の日曜日。はなっから大して期待はしていない。昨日の惨状に懲りたのか、出店者が半減。急遽空きがでたとのことで、本部席近くのテント下に出店することになった。
「昨日めぼしいものは売れちゃったから〜」と、のんべんだらりの1日を過ごす。本部席で引換券をせしめては福引き開場へ。そういえば一昨年の夏場にも、こんな事をやったような記憶が・・・。
ちょんまげ伊東ちゃんのお誘いで行った「セントラルサーキット」でのフリマ。あのときは、ビンゴ大会で1等の旅行券をゲット。おまけに「かけそばの早食い大会」でも優勝して、たしか商品券をもらったよなぁ〜。
「夢よふたたび」と、福引きにチャレンジ。3等のペンライトと4等の「乾電池のつかみ取り」をゲット。「こんなしょーもないことに運を使い果たしているのか」と思うと、おじさんちょっぴり寂しい気持ち・・・。
さて、お昼時。[今日はどんなまずいものがでるのか」と、期待に胸ふくらませながら、社員食堂へと続く階段を駆け上がる。「今日のメシは美味いでぇ〜!」と、食事を終えた従業員らしき人物が、食堂に向かう同僚に語りかけている。ちょっとだけ期待しながら行列の最後尾にならぶ。
ご飯とお浸しを受け取り、メインディッシュのコーナーへ。どうやらすき焼き風煮物のようだ。ご飯は昨日と全く同様。私は刑務所に入ったことはないが、おそらく「臭い飯」とはこのようなものであろう。
お浸しは素材の持ち味を最大限に引き出すためか、あえて茹でただけ。病院食もかくやの代物。
グラタン皿にどっぷりそそぎ込まれたすき焼き風煮物は、その内容量の半分以上が水分。おまけにボリューム感を出すために加えられた片栗粉のせいで、どろどろ半透明のスライム状態。ひたすら砂糖甘いスライムをご飯にかけ、醤油で誤魔化し流し込む。さっきのおっちゃんは本当にこれを「美味い」と感じていたのだろうか?
3時になり工場の門が閉められた。本日の売り上げは昨日並でストップ。二日がかりで花博なみ。まあ、タダなんだから文句は言うまい。日本を支える企業戦士の食卓も、かいま見ることができたし。
まずくても腹はふくれる

3月20日 城陽市文化パルク ふれあいマーケット
焼き餅(まんまやがな・・・)これまで毎月第2日曜日が「なでしこ文パル」の開催日だったが、今年から第1や第3日曜に変更されることが多くなった。 大西さん曰く「第2日曜にホールがふさがっているのが原因」だそうだ。 おまけにこれまでワンブース2千8百円だった出店料も今年から3千円に値上げされた。 「ホールの使用料が値上げされた」ことが原因だそうだ。
これらの元凶は文パルのお偉いさんが、なでしこフリーマーケットの様子を視察した結果引き起こされたもの。 「プロ(業者)が多い」というのが、その理由であるそうな。
そもそもこの文パルではふたつのフリーマーケットが定期的に開催されている。 ひとつは毎月開催される「なでしこふれあいマーケット」、もうひとつが年に2〜3回開催される「パル市」だ。 ホールいっぱいに出店者が集まる「なでしこ」に対して、「パル市」は10軒程度の出店者。入場者の数も段違いの有様・・・。
まずいことに「パル市」は、この「文化パルク」自身が主催するイベント。 やっかみ半分で件の発言だと推測されるがいかがなものでしょうか、城陽市役所の外郭団体「文化パルク城陽」の責任者さん??
ドル箱とは言わないまでも文パルの安定度はピカイチであっただけに、出店料の値上げ云々より開催日変更は正直なところ痛い。 現に1〜2月の文パルは、始まって以来の苦戦を強いられた。 これにはちゃんと仕入れを怠っていたことも原因のひとつにあげられるのだが・・・。 かくして、春分の日に開催された文パルふれあいマーケットへ出店と相成った。
先週末に子供物のブランド靴下を仕入れしたので、大量の荷物搬入がまた一苦労。 うまいことそれがツボにはまり久々のブレイク。 心配していた客の入りも、1〜2月に比べて増加してきている。とりあえず一安心。
男のヤキモチはみっともないよ

3月21日 東寺 弘法さんの市
花嫁募集中 昨日の売り上げに気をよくして弘法さんの市に出店。何とかこの勢いを維持して、春物商戦に弾みをつけたいところ。手元の商品一切合切積み込んで、夜明け前の東寺に到着。
出店場所に荷物を降ろし、日頃は有料拝観になっている庭園に車を駐車する。先月まではこんな手間のかかることをする必要はなかったのだが・・・。
この場所に定着して1年。 そのほとんどが車をを横付けした出店方法であったのだが、周りのみんなが真似をしはじめ、2台3台と車が増えるのを見かねた世話役の松浦さんから「イエローカード」をいただいてしまったのだ。「軽自動車ならまだしも普通車まで駐車したら、いざというとき消防が入れんだろ!」との理由。 うちの鉄クズ1号は黄色ナンバーの軽自動車。つまりはうちの隣に店を出す婦人服屋の下尾(4?歳)君が、ハイエースを停めっぱなしにしていたことが直接の原因だ。 そもそもこういった問題が発生した場合「連帯責任」をとらされることが多いのは、どこの世界でも同じ。ましてや“その筋”の人だけに、その傾向はとっても強い。かくしてこの私も車を移動させられる羽目になったのだ。
車で出店できないと、ルーフキャリアを使った屋根が張れない。空模様を気にしながら、おっかなびっくり1日を過ごす羽目になる。 ただ、きょうは幸いにも降水確率が低いので、何とか1日お天気が持ちそうな気配である。騒動の発端になった下尾(独身)君の方を見てみると、ちゃっかり巨大なパラソルを持参し、 おまけに組立式のブティック用什器も揃えた万全の体制。商品の方も500円の半端物から有名ブランド(コピー)品まで、日頃以上の拡張ぶり。 「どないしたの?」と思わず聞けば、「店しめたから」と一言。祇園にホステスさん相手のお店をだしたのが半年前。「保証協会から金借りる」と騒いでいたのが3月前。 先月は「コスプレ用の商品を作るために洋裁教室に通う」と息巻いていたのに・・・。下尾(花嫁募集中)君いわく「祇園も不況で大変」なんだと。
そんな下尾(ソープ大好き)君のきょうの目玉商品は“看護婦さんの服(帽子付き)”5000円。本来ならスカート丈を詰めて販売するコスプレ衣装だそうだ。とうとう弘法大師の月命日にアダルト商品のお出ましだ。 「そのうち罰が当たるぞ」というと、「もう充分罰当たりでんがな」のお答え。
その罰当たりな商品がなぜか売れるのである。鼻の下を伸ばしたおっちゃんではなく、若いお嬢さん方が買って行くのである。椎名林檎ちゃんのプロモーションビデオに触発されて・・・。30代半ば以降の方ならご記憶であろう、あのダウンタウンブギウギバンドによって引き起こされた“つなぎ服”の爆発的なヒットを。そのリメイクなのか?おっさんにはついてゆけない世界だ。
若い子の好みはようわからん


3月26日 きらめきフリーマーケット
ショックで閉籠もる筆者前日の天神さんの市が早起きしたわりにあまりにも酷い結果だったので、うちに帰って布団をかぶってふて寝を決め込んでいたら、 夜中に携帯電話が鳴る音で起こされた。 眠い目を擦って出てみれば甲高い声が。「敦賀大雪らしいで」と、姫ちゃんからの電話である。 京都・大阪・奈良方面からの出店者は早朝パーキングエリアで待ち合わせをして、 明日開催の「きらめきマーケット」に出店する手はずになっていたからだ。 「まんまちゃんから連絡があって、雪の交通規制で敦賀にたどり着けず引っ返してきたらしい」 まんまちゃんの本名は伊藤君。スポーツものの子供服を専門に扱うフリーマーケットの常連だ。 ちなみに「まんまちゃん」とは、TV番組に登場する同名のキャラクターに容貌が酷似していることからつけられたニックネーム。 この業界にはなぜか「いとう」姓が多く、「ちょんまげ」とか「雑貨屋」とかのサブジェクトで識別されている。
その「まんまちゃん」は25日に滋賀県のフリマに店をだし、その足で福井県敦賀市に向かったらしい。 北陸自動車道に合流するまでに、名神高速道路は雪のため延々渋滞。ついには引き返す羽目になり、業務連絡網で各出店者に通達が流されることになったそうな。 姫ちゃんの情報をかいつまんで説明すればそうなるが、 お喋り親父の電話だけに、このわずかな要件のために5分もの貴重な時間が費やされた。
「なぁ、明日どないする〜?」「とりあえず寝る」「雪降ってんねんでぇ〜どないしょ〜」 「明日の朝起きたときに考える」「えらい冷たいなぁ〜ほんまどないしょ〜」 「今朝4時起きやったから、寝させてくれ!」とりあえずまだ喋りたそうな姫ちゃんには申し訳ないが、ここで電話を切らせてもらいふたたび夢のなかへ。
翌朝5時に起床し空模様を眺める。しっかり雨が降っている。 今日の会場は敦賀港の隣に完成したばかりの「きらめきみなと館」。 インドア開催だけに雨ならば開催ができる。しかし、夏タイヤの鉄クズ1号で雪中行軍は勘弁願いたい。 この時間に主催者をたたき起こすのは気が引けるので、0770−177をダイアルし敦賀地方気象台の天気予報を聞く。 機械音声は「風雪雷注意報」の発令を告げていた。あきらめて布団をかぶって寝る。
ふたたび目が覚めたのは9時過ぎのこと。京都は曇りながら雨が上がっていた。 主催者におそるおそる電話。「こちらは雨です。もちろん開催します!」と言われても、 この時間から高速をすっ飛ばしていっても到底間に合うはずもない。
ドタキャンを余儀なくされてしまった。
パソコンに向かってキーボードを叩いていると携帯電話がなる。私の着メロはちょっと恥ずかしい「カエルの歌」だ。 でてみればやっぱり姫ちゃん。なでしこ大西さんに頼み込んで、宇治市生涯学習センターに出店したらしい。 「今日は何してんの?」と聞かれ「パソコンで遊んでんのや」というと、「ちゃんと働け!!」とあたたかい励ましのお言葉をいただいた。
お前に言われたないわい!


4月16日 上賀茂神社
二条城の堀端に咲き誇っていた桜も散り、GWを間近に控えたこの季節。京都市北区のライオンズクラブが主催するこのフリマにチャレンジしてみた。
去年出店していた榊さん曰く「先着順やから、朝一でええ場所押さえなあかんぞ」とのこと。 それを聞いていたので集合8時のところ7時前には現地入り。一等賞と思いきや先客あり。フリマ業界では知らぬ人のない西出夫妻の姿が。「もう場所とらはった?」「今年から主催者が決めるそうやで」「げげ・・・」主催者の姿はまだ見えず、下見をかねて境内を散策することに。
神域だけに掃き清められた玉砂利の参道。会場になるのは参道右手の芝生広場。その奥には小川が流れ、せせらぎ沿いにしだれ桜が満開。桜と一口にいっても品種によってずいぶん開花時期が違うもので、風が吹くたびに花びらが舞う幻想的な光景に、しばし時のたつのも忘れてしまう。
京都に暮らしはじめて足かけ10年になるが、上賀茂神社を訪れるのは実は今回がはじめて。神社仏閣に事欠かない京都のなかでも、ここの縁起は最古のもの。桓武帝の平安遷都以前からこの地にあるらしい。
しばしの散策を終えて、入り口に戻る。西出夫妻が荷物を運びはじめた様子から、どうやら主催者のお出ましのようだ。受付を済ませ指定されたブースに荷物を運び込む。小川沿いの一番奥。ひらひらと桜の花びらが舞う、ずいぶん風流なブースを割り当てられたものだ・・・。
この「風流」の代償は、ずいぶん後々まで続いた。ひと風ごとに舞い散る花びらは、靴下を並べた台の上にも降り積もる。払いのけても払いのけても、あとからあとから・・・。 靴下を収めた箱のなかにさえ紛れ込む花びらの処理には、その後数週間悩まされた。
靴下の桜漬け


4月29日 鹿深ふれあいマーケット
とうとうGWの連休商戦がスタート。昨年度の売り上げ実績と、各方面に張り巡らせた穴場情報を天秤に掛け、今年の日程をくんだつもりではあるが・・・。
連休商戦を占う上でもっとも気合いを入れなければならないのがこの初日。昨年は、なでしこ大西さんの誘いを振り切ってネッツトヨタで小当たり。「夢よもう一度・・・」と申し込むが抽選漏れ。キャンセル待ちも多いと聞き、方針変更・新天地の捜索する事に決めたのが、つい2週間前のこと。あちこち電話をかけてみても「もう一杯です」のつれない御返事・・・。
あきらめ半分で電話したのが滋賀県は水口町のスポーツセンター。「まだ受け付けていますよ」の答えに小躍りするも、「ではこちらにご来場いただいて、所定の用紙に必要事項をご記入のうえ、出店料をお支払いください」と、事務的なご返答をいただく。 高速道路を使うほど離れてもいないし、さりとて電車の便は非常に悪し。かくして京都からトラックで込み合う慢性渋滞の1号線を、ちんたらちんたら3時間弱のドライブ。どうにかこうにか申し込みをすることが出来た。
そしてフリマ当日、会場に一番乗り。「もしかしたら」の予感がよぎる。搬入・設営を済ませ、会場内を下見してにんまりと笑う自分に気づく。予感は的中。出店者のなかにだれ一人知り合いはいない。
プロやセミプロ連中にとって、『直接申し込み』ほど面倒くさいものはない。催事から催事のスケジュールを調整し、申し込みのために一日を無駄にするような人間はいなかったわけだ。久々の『素人大会』は大ブレイク。あっという間に一日終了。帰りの車がずいぶん軽く感じられた。
人間万事塞翁が馬


4月30日 ガレージセール協会 グリーンスタジアム神戸
このイベントは昨年大ブレイクした実績があるだけに、なんとしても押さえておきたかったところ。神戸市のフラワーフェスティバル協賛イベントで、おまけに今年は淡路花博の年だけに、相乗効果を期待して早めに申し込んでおいた。
昨日の今日で、連休商戦に弾みをつけておきたいところだけに、ブランド・キャラクターの子供靴下を中心に商品を構成する。
神戸市営のバイパスを抜け、オリックスブルーウェーブの本拠地『グリーンスタジアム神戸』野球場の南に広がるグラウンドに車を回す。搬入開始の30分前に到着するも、車列はすでに結構な長さになっている。昨日とはうって替わり、今日はプロ・セミプロが大集結。気合いを入れて商売に励まなければ・・・。
ところが、いかに気合い満タンでも、お客がいないことには商売は成り立たない。昨年とほぼ同じ場所に陣取ってはいるが、目の前を通り過ぎる絶対客数が少ない。実はこのフリマ、29・30の2日間開催で、リスクを分散するために30日のみ出店したわけだが、これが裏目に出たのだろうか・・・。
開店休業状態なので会場を散策。知り合いの顔を見つけ探りを入れる。「どう?」「ぜんぜん・・・でも、昨日よりはましかなぁ?」「・・・」
昨年に比べ、売り上げは大幅ダウン。地図を片手に裏道を抜け高速代を節約する家路の遠いこと。
マイナスの相乗効果?


5月3日 丹波出会いの森公苑
1勝1敗でむかえた『丹波の森公苑』もまた、昨年ブレイクした実績がある場所。朝霧に包まれた山道を抜け、兵庫県中部の柏原町を目指す。連休の中休み(?)を利用して、オイル交換を済ませた鉄くず1号のエンジンは快調そのもの。連休期間の早朝は交通量も少なく、荷物を満載した軽自動車でも結構なペースで走ることが出来る。 おまけに時速80キロを超えるとバイブレーターと化すハンドルのおかげで、日頃の肩こりも解消。これで売り上げが良ければ、この稼業も楽しいもんだが・・・。
会場に到着してみれば、すでに先客がある。そのうち約半数は岡山ナンバー。不思議なもので丹波但馬丹後エリアにくると、大阪ナンバーの通称『アメ村軍団』が減少し、岡山・姫路をナンバーの『山陽連合』が増えてくる。「でんがなまんがな」と「じゃけぇ」の境目は中国自動車道あたりか?
ホールのある丘陵地からすそ野のエントランスまで、一直線にのびるプロムナード。中央の芝生広場を挟んで、その両サイドにずらりとテープで区切られたブースが並ぶ。総延長は数百メートルに及び、その高低差は軽く見積もっても数十メートルに達する。お客さんも大変だが、搬出入はもっと大変。かたわらに駐車場があるものの、いかに出店ブースの近くに車を停めるかで、その後の労力に大きな違いが生じる。
ここで一悶着。ブースにはすでに番号が割り振られてあるが、その番号と出店許可証の番号が同じか否かでもめているのだ。「番号通り」と主張してさっさと荷物を運び込みたい山陽連合と、「これから抽選」を主張しているアメ村軍団。ジャッジの主催者はまだ来ない・・・。しびれを切らして山陽連合が搬入をはじめる。「さて一触即発か?」期待に胸を膨らまして、アメ村軍団の様子をうかがうも紛争は不発。武力衝突は回避された。当たり前か・・・。
結局のところ山陽連合の説が正解だった。その尻馬に乗ってさっさと搬入を済ましていた自分自身もほっと一息。だって去年もそうだったんだもん。
売り上げ? 聞かないでください・・・。
1勝2敗


5月4日 園部れんげフェスタ

連休商戦に暗雲たれ込めるなか、本日も早出して園部れんげフェスタに出店。小高い丘の上のグラウンドが会場だけに車出店をチョイスして大正解。昨年までは手荷物出店者も車搬入が可能であったが、今年から麓の駐車場から手はこびせよとの御達しで、手荷物出店者の口からは不平不満がこぼれていた。このくそ暑いのに、往復約1キロの坂道をなん往復もするのは骨が折れるからだ。
車ブースの恩恵に浴して、早々とテントを立てて出店準備完了。メインステージから多少離れるが、角地で条件は悪くない。あとは値段表を張り付けるだけにしておいて、会場内を下見にでかける。
車ブースの約1/3はどこかで見た顔。靴下屋も2件ほど競合し、苦戦は必至。
いずれにしてもこれからのシーズンはサンダル生足。今のうちに在庫をさばききって、連休明けからは夏物に切り替える予定だけに、多少安売りしてでも数をさばく覚悟をきめる。
某有名ブランドをメインに据え、ディスプレイを少々変更。大バーゲンプライスに設定。これで売れなきゃお客が悪い。そして開店。
結果的には全体に売り上げが悪い様子。急な暑さにみな朦朧としているのか? 一人気を吐いたのが姫さん。「安くしているから儲けがない」と言いつつ、15〜6万の売り上げ。わざわざ自慢しに、うちのブースまで足を運んでくれた。しかし、園部の住人は某有名ブランドを知らないのだろうか。

くたびれるなぁ


5月5日 ガレリア亀岡 こどもの日ふれあいマーケット
本日のガレリア亀岡は、通常のなでしこフリマとは違いガレリア自身が主催するイベント。「こどもの日」ということもあって、普段の「何でもあり」とはひと味違い、子供向けのおもちゃや子供用品関係を集めてある。ガレリア主催とは言っても、フリマ出店者のとりまとめはなでしこ大西さん。子供物の靴下を補充して乗り込んだ。
いつもの円形ホールはどこかの業者が貸し切っているため、エントランスのホールにブースがしつらえてある。エスカレータの真横に陣取り設営完了。隣は昨日の売り上げトップ姫ちゃん。今日こそギャフンといわしてやると意気込むものの・・・。
10時の開場と同時に、どっと人が押し寄せる。飲食物を提供する地元農協の屋台から、焼き鳥・焼き肉が焼ける香ばしい香り。人混み。子供たちがゲームに興じて歓声がこだまする。昨日と違って今日は冷房の効いた屋内だけに、結構なペースで靴下がはけてゆく。なかなか忙しい。
隣の姫さんのところも、ず〜っと人波がとぎれない。無駄話をする暇もなく、あっという間に終了時間の4時になる。久々に大台に乗ったかな? と、こっそり金勘定をする。「どないや?」背後から突然声をかけられぎくり。振り向けばにたにた笑いの姫ちゃん。よりによって、金勘定といういちばん恥ずかしい現場を目撃されてしまった。「忙しそうやったし、結構行ってるんと違う?」「まあ、ぼちぼちかな。あんたのほうは?」「あかんねん」と、姫ちゃんちょっとくらい表情。そんな毎日毎日馬鹿売れしたら、姉妹には倉が建ってしまう。たまには転けたらええのんや。などと心中で毒づいていたら、「昨日が15万やろ、今日は20万目標やったのに、たった16万で止まってしもた」と語って、姫ちゃん相好を崩す。なんや自慢しに来たんかい。今日こそ勝てると思っていたのに・・・また負けてしまった。
「人の不幸は密の味」その反対は?


5月6日 山東町グリーンフェスタ
国内最大の淡水湖である琵琶湖。そこにかかる琵琶湖大橋を渡り、わんわん王国の前で姫ちゃんと待ち合わせ。ここから湖岸道路をすっ飛ばして、関ヶ原手前の山東町まで行くわけだ。先導役を仰せつかっても、正直なところ行ったこともないところ。もちろん鉄くず一号にカーナビは装備されていない。地図をダッシュボードにのせて、時々のぞき込みながらも非合法速度でとばす。
早朝からねずみ取りもなく2台のボロ車は順調に目的地に。分かれ道の目印になるサークルKで昼飯を調達。日本の正しい田園風景を駆け抜け、民家もまばら、オートキャンプ施設と運動場、体育館が田圃のなかにあるだけの、グリーンパーク山東にほどなく到着。
「人口少なそうやね」「客くんのかぁ?」姫ちゃんも若干の不安を隠せないようだ。
雨天ゲートボール場と言った造りの体育館。表にはテキ屋の屋台がちらほら。なかは地面むき出しのグラウンド。ステージにはビンゴ大会らしき賞品の数々。そのかたわらには、焼きそばうどんの飲食ブース。このフリマは昨日も開催されていたようで、仮囲いされた荷物がそこかしこのブースに残されている。ブルーシートの中身を覗いてみると、どうやら靴下屋はいない模様。子供のイベント用に設置されたレールトレインがもの悲しさに拍車をかけている。
主催者登場。ブースは「空いているところを好きに使って」と、太っ腹。荷物を運び込みセッティングしていると、昨日に引き続き出店するメンバーが集まりはじめた。
「昨日どうでした?」
「さっぱり」
えらい所に来てしもた。しばし姫ちゃんと顔を見合わせる。
開場。キャンプ客が朝飯を食べにくる。もんぺ姿のおばあちゃんがのぞきに来る。がきんちょがレールトレインに乗っかってはしゃいでいる。売り上げは大したことない。
それでも姫ちゃんよりはまし。彼はふてくされて昼前に早々撤収。
「二度と来んわ!」と捨てぜりふを残して、さっさと帰ってしまった。
3日目にして、ようやく姫に勝つ


5月7日 メリケンパーク サムシル神戸
穴狙いは確率が低いだけに高配当が期待できるのだが、往々にしてその予想は外れやすいもの。昨日は何とか泣ける範囲まで売り上げを伸ばすことが出来た。カレンダー的に恵まれた今年の連休商戦。振り返ってみれば、昨年ほどの大当たりがなかったところを、出店日数でカバーしたような格好。最後の締めにはメジャー会場を攻めようと、神戸のメリケンパークに出店してみた。
三宮のコンビニで弁当を調達し会場へ入って後悔。なぜなら会場には飲食ブースがぎっしり。神戸名物の牛肉、中華、ワイン、お酒まで。早まった事をしでかしたもんだ。
この会場は先着順で奥から車を詰めてゆくスタイル。先客には樅木さんの姿があった。
聞けば、昨日もここに出ていたそうな。昨日の顛末を面白おかしく、さらに姫ちゃんのドツボぶりには尾ひれを付けてつたえると、「ここも似たようなもんですよ」とか。あまりの暇さに、無料のワイン試飲や鍋物なんかをむさぼり食っていたそうな。
姫さんの奥さんやアクセサリー屋の兄ちゃんなど顔見知りも多く、和気あいあいと出店準備完了。ところがお客さんが少ない。こどもの日前後は観光客やら地元の神戸っ子が大勢集まったそうだが、本日は・・・。おまけにどんどんと雲行きが怪しくなってきた。濡らしてはまずいものから徐々にしまいはじめ、本降りになる前に何とか商品はしまい終えたが、什器やテントを片づける段には土砂降り。頭の先からびしょぬれになったところで、主催者から中止が発表された。サムシル神戸が主催する、その他会場でのフリーマーケットに振り替えてくれるそうだ。
お土産用に水餃子やら肉まんを買い込み、ずぶぬれのまま2号線を西へ。明日から単身実家にもどり、野良仕事をしなければならない。「今日の稼ぎが高速代」の予定だっただけに、下道での里帰り。兵庫県を抜け、姫新線沿いに岡山県を斜めに縦断。岡山、島根、鳥取県境に近い広島県東北部の故郷に向けて、鉄くず一号はひた走ってゆく。
涙雨に濡れながら、一路故郷へ

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