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         ◆魔界京都の不思議話と電脳露天商のアロハ太閤記◆
            【第0号】2002/06/25発行

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●第一話:人造人間ヘイアンダー

朝廷に出仕する役人の中でも文章博士で中納言の紀長谷雄は、間違いのう同期
主席のキャリア官僚。今日もまた内裏で、バリバリと政務をこなしていた。
内裏とは、現在の中央省庁と国会をあわせた国の中枢部。つまり、内裏のある
朱雀門の内側は、今ならさしずめ霞ヶ関のような最重要地域やった。

さて、日が暮れて今日もおつとめを終えた長谷雄が朱雀門を出ようとしたら、
見慣れん男がふらっと現われて行く手をはばみよった。
「あやしいやつでは?」
長谷雄の顔に緊張の色が浮かぶ。ところがその男は、
「あんたが名うての使い手と聞きましたんで、一勝負お手合わせ願いたい」
と、懐に手を突っ込んだ。
「うっ」
剣でも出されるんかと思わず身構えた長谷雄やったが、男が差し出したのは
『双六』であった。
しかぁし。現在のガキ向けおもちゃとは違い、当時は金品をかけた真剣勝負。
勝負に熱中したあげく喧嘩や殺人事件もあとを絶たず、しょっちゅう禁止令が
出されたほど。立派な博打やった。

「もし私が敗れたなら、天下一の美人を差し上げますで」
男は野卑な笑顔を浮かべた。
「そこまで言われて引き下がるようでは男がすたる」
と、内心ニタニタの下心を隠して長谷雄は男に従う。
行く先は、なんと朱雀門の楼上であった。

双六盤に向かい合う長谷雄と男。
「紹介が遅れましたが…」
男は、この世の者とは思えんほど美しい娘を呼び寄せた。
「今宵の賞品でございます」
長谷雄の目尻がだらりと下がった。いやいや、褌を締めていざ勝負ぢゃ。

が、駒は進めど勝負はつかない。男は並の上程度の腕前、双六名人とうたわれ
た長谷雄の実力やったら、本来は赤子の手をひねるようなもんやが、さしもの
名人も目の端にちらちら見える美女に気を取られて集中できん。
夜明け前、ようやく勝負がついた。辛くも勝ったのは長谷雄やった。
「さすがは中納言様」
男は感服した証として烏帽子を脱いだ。と…頭には2本の角が…。
「私はここに巣くう鬼でございます」
鬼は呆気にとられる長谷雄に耳を寄せる。
「ここにいる娘は、死んだ美女たちの優れた部分だけを選りすぐって仕立てた
者にございますゆえ、魂が固まるまで、百日は決して触ってはなりませぬ」

屋敷に連れ帰り、妖艶な美女と暮らすこと数十日。
季節はおりしも夏。薄衣一枚のあらわな姿に耐えかね、長谷雄はついに娘に手
を出してしもうた。
あっという間に娘の体は溶けて流れ、あとにはひんやりした冷気だけが残った。

★『朱雀門』のいま★
紀長谷雄と鬼が美女をかけて双六勝負をした『朱雀門』は、現在の千本丸太町
とJR二条駅とのほぼ中間にあったと言われている。当時の面影を今に伝える
ものはなにもなく、遷都千百年を記念して立てられた石碑が、千本通りの出世
稲荷から南に歩いた東側にあるのみ。
しかしギャンブル精神は健在のようで、付近に1軒のパチンコ店ががんばって
いる。ただし、いま美人店員がいるかどうかは定かでないが…。

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★「はじめまして」の皆さん、「毎度おおきに」の皆さん、京都・中京に住む
 和柄屋・玉葱工房のP助でございます。

★これから時おり、京にいまも息づく怪異な話や不思議な話と、その場の現況
 とを合わせてお届けしますんで、京都観光の参考に、うだる夏の暑気払いに、
 どうぞお楽しみください。
 第一話は、P助が8年前まで住んでいた出世稲荷界隈のお話でございました。
 (ここのパチンコ屋、その時にだいぶイカれてもたしなぁ…ぶつぶつぶつ)

★また「玉葱工房」オリジナルの、着物や浴衣から仕立てたアロハシャツと、
 世界に同じものが二つとない手描き染めの友禅Tシャツ&トレーナーの新作
 情報やセール特典のお知らせも随時行いますので和柄ファンはお見逃しなく!

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『後友禅』Tシャツ登場間近。

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